こんにちは
大河内です
以前、「歯の大きさ」はお母さんに客観的に説明できる診断材料ですよね、という話をしました。
「歯の大きさ」と叢生に関しては面白い論文があります。
木本茂成先生が2010年に書いた論文で、これが非常によくまとまっていて興味深いので参考にさせてもらうことが多いのですが、その中に「歯の大きさ」について触れている部分があります。
以下抜粋
「過去50年間に報告された日本人の歯冠の大きさに関する調査報告によれば、乳歯の歯冠近遠心幅径に大きな変化はない。ただ、永久歯については切歯、側切歯ともに近遠心径は増大の傾向を示している。特に永久切歯の歯冠幅径の増加が叢生の主な原因であるとする報告もあり、咬合誘導に際して歯列全体でのディスクレパンシーの発現を考慮する上で、今後、現代の日本人におけるリーウェイスペースの状況についても精査する必要があると考えられる。」
と書かれています。そして、この論文では50年間で4前歯が1〜2mm増加しているデーターが書かれています。
確かに、臨床でも「歯が大きい」などと質問されることも多く、実際に歯の大きさを測ると意外に大きい小児が多いですよね。
歯の大きさに関しては栄養状態や進化であるとはいろいろ言われていますが、実際になぜそうなったかはわかっていないと聞きます。
ただ、臨床をやっていると歯が大きいことで叢生の発現の増加や12歳臼歯の萌出障害が増えているのではないかとも感じますよね。
前回の話では平均値と比べた歯の大きさで診断する話をしましたが、全体的に幅径が増加したら比較しての診断の意味が無くなってくるので、さらに問題が複雑になってきます・・・。
もう、これは人類の進化なのか?
歯の幅径が大きいが第2小臼歯の先欠でバイオロジカルに並んでいる小児の症例をステップアップセミナーでお見せしましたが、
先天性欠如も増加しているので、もう100年したら、側切歯と第2小臼歯が先天性欠如している人が一般的になって、そのスキマが「歯の大きさの増加」で代償されるのではなのかとも思います。
そして、今がその過渡期、なのかな?
どう乗り越えるか?
などといろいろ考えてしまいます。
臨床をしていると、人類の進化まで思いを馳せることができるのって不思議な感覚です。
昨日は子供と走り回って過ごした夏休み。
満点の星空を見上げながら人類の進化に思いを馳せらせる幸せな1日でした。
これが、その論文です。
ご興味ある方はどうぞ。
小児歯科学雑誌 48(1): 11−19 2010 11
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