こんにちは
大河内です。
下顎の装置が3ミリほど巻いた時点でアダムスのクラスプが切れてきました。
さて、どうしましょうか?
鈴木先生の模型相談を見ていると、このような例で「修理」としてアダムスのクラスプを曲げて欲しいという依頼をよく見かけます。
閉鎖型の装置なら長めに使うので分かるのですが、あと数か月で終わりの装置のアダムスのクラスプの修理はちょっともったいないなと思います。
実は、鈴木歯科医院では切れた部分のアダムスクラスプを曲げてもらって、チェアサイドで埋め込み修理するというのはやっていません。
もちろん、
技工士がいるので新製してもらえるという恵まれた環境もあるのですが、あと数ヶ月の拡大で終わりという時には切れたアダムスのクラスプは無視して、他の部分で維持を取るようにしています。
それは主にレジン部と唇側線です。
唇側線の調整は少し難易度が高いのですが、前歯のレジン部をリベースしてアンダーカットを多めに残すとなんとか維持はとれます。
このレジン部をリベースする利点は、しっかり拡大したい前歯部に床がぴったりするので拡大が確実に進むことです。
アダムスのクラスプでいくら維持を回復してもこの前歯部の床がぴったりしていないことには拡大がうまく行われません。うまく拡大されずに臼歯部ばっかり広がって前歯部はおいてけぼりになっている技工物がたまに来ると悲しくなります。
ですので、あと数ヶ月で拡大終わりという時にはアダムスのクラスプの修理依頼を出す前に、前歯部のリベースを行ってみてください。
出す手間と修理する手間と床の不適合のデメリットが一気に解消することがあります。
あ、送料もいらなくなりますね。
アダムスのクラスプが切れなくても前歯部のリベースは大切ですので、拡大中はスクリューのミリ数よりも、前歯部のレジンの適合を見る方をぜひ優先してください。