こんにちは
大河内です
先日、衛生士さんからの質問で「パナシールドを反対咬合に使っていたが、パナスティックも使えるのか?」というものがありました。本当に皆さん良く勉強されていて感激です。
ざっくり答えると
パナスティックは交叉咬合に使い
パナシールド は反対咬合に使う
との回答になりますが、
ここで
「反対咬合と交叉咬合ってどちらも前歯が反対になることだけど、何が違うの?」という疑問が出てくると思います。
私も実は鈴木歯科に入る前はこの違いが全くわかっていませんでした。
1または2本の前歯部の逆被蓋は「交叉咬合」
3歯以上の逆被蓋は「反対咬合」
と言います。
これはざっくりした定義なので後で詳細を載せます。
あと、「こうさこうごう」は「交差咬合」ではなく「交叉咬合」です。この漢字も間違ってネットなどに載せている医院様もあるので要注意です。
つまり、
パナスティックは1本、多くても2本の逆被蓋に使用していきます。
私はどちらかと言うと1本くらいしか指導しません。何らかの理由でたまたま口蓋側に出てきてしまった萌出したての中切歯や側切歯に使うことがほとんどです。それ以上の本数になると隣在歯の関係で歯が前方に出られないことも多く、患者さんの負担も増えて結局やらなくなることも多いため、ほとんどが拡大して閉鎖型の装置か程度によっては前方拡大装置を併用しますが、ケースバイケースで使い分けをします。
反対咬合にはパナスティックは使いません。
反対咬合の場合は機能性であるならばタッチスティック やパンシールド、歯性や骨格性ならばその他の装置を用います。
ただ、こうゆう風に使うべきだ!というのはありませんので、先生方の臨床判断で使っていただければと思います。上記の私の使い方は参考にしていだけれれば幸いです。
最近愛読している本に小児歯科学会が出している「小児歯科専門用語集」第2版(2019)年医歯薬出版があります。
眠れない夜に読むととても良く眠れますので私の睡眠薬です。
と言うのは冗談ですが、
小児歯科学会に所属していると無料で配布されまして、この本が端的にまとまっているので重宝しています。これをまとめてくださって無料で配布なんて小児歯科学会の先生方はすばらしいですね。
その中にも交叉咬合の定義が詳しく載っていますので、ここで掲載させていただきます。マニアックに知りたい方はぜひどうぞ。
交叉咬合(こうさこうごう)(cross bite)
上下顎歯列弓の形態的不調和による水平的あるいは前後的な咬合関係の異常であり、正常被蓋とは逆に、咬頭嵌合位において上顎の歯が下顎の歯に対して舌側位で咬合する状態をいう。臨床的には臼歯部の逆被蓋を「交叉咬合」、前歯部の2歯以下の逆被蓋を「前歯部交叉咬合」という。前歯部の3歯以上の連続した逆被蓋は「反対咬合」という。