口腔機能

一番怒られたこと

こんにちは

 

大河内淑子です

 

「小児の咬合育成で一番大事なことってなんですか?」

とセミナーで質問されたことがあります。

 

「子供が好きなこと」などの精神論的なものはありますが、

一番大事な技術としては何といっても

 

「写真を撮る」ことです。

 

「なーんだ、そんなこと」と思うかもしれませんが、

単に「写真を撮っている」という先生もいろいろです。

 

皆さん適当なタイミングで撮影していたり、

初診時も口腔内写真だけだったりと

多くのトラブルを経験した私から見ると、

甘すぎると感じます。

 

特に忘れがちなのが「顔写真」です。

 

私も鈴木歯科医院に入ったばかり頃

院長から一番怒られたことは

「写真の撮り忘れ」でした。

 

治療に夢中になったり話に夢中になるとつい忘れます。

 

また、

「写真を撮ったけど大事なところが写っていない」

ことも散々怒られました。

 

今では怒鳴り散らされたことも懐かしいですが、

そんな新人を経て写真の撮影に慣れてきた頃、

ある事件が起きました。

 

ある中学生の患者さんがユニットに座るやいなや

付き添いのお母さんが言いました。

 

「先生のところに通い始めてから

顔が曲がったと言われるのだけど、

治療は大丈夫なのでしょうか?」

 

患者さんはうつむいて黙っており、

お母さんはかなり怒り気味でおっしゃるので

私も驚きました。

 

「確認するので、少しお待ちください。」と言って、

本人の口腔内と顔貌をチェックしました。

咬合は問題ないのですが、下顎は確かに偏位しています。

 

次にアルバムを確認しました。

 

すると、

 

初診時のアルバムを見ると、

今よりもっと下顎が偏位していました。

 

下顎の偏位は悪化しておらず、

咬合を改善することによって

若干の改善も認められます。

 

その事実を本人とお母さんに初診時の写真を見せながら、

骨格性の顎偏位も含めて説明しました。

 

お母さんと本人は

「よかった!悪くなってないのなら安心しました。」

と安心して帰られました。

 

初診時に必ず顎偏位の話はしているはずなのですが、

患者さんは完全に忘れていたようです。

 

この時は写真があったので問題なかったのですが、

私は初診時に写真を撮っていなかった恐ろしさを考えると

ゾッとしました。

 

いくら咬合か改善されていても、

顔貌が悪くなったとなると

患者さんは治療の効果が出ているとは感じません。

 

写真がないと改善したかどうかもわからないので、

説明はただの言い訳として患者さんは感じてしまうでしょう。

 

この事件が起きてから、

私は写真を撮ることの重要性が

心の底から理解できたような気がします。

 

そして、写真の重要性として

 

「治療を確認するだけではなく

患者さんと治療を共有するためでもある。」

こともあります。

 

わかってはいるのだけれど、

ついつい、患者さんに写真を見せ忘れます。

 

当院ではベテランの助手さんや衛生士さんが

ドクターの待ち時間や説明が終わった後などに

患者さんに写真を見せながら説明してくれます。

 

何も指示しなくてもやってくれるのは

これは本当にありがたいですし、

必要なシステムです。

 

歯科助手さんや衛生士さんの活躍の場として

どのように取り入れるかは院内の方針でしょうが、

 

もう一度院内の写真撮影のシステム、確認してみませんか?