子どもの口と顎の異常・病変〜歯と顎骨編

こんにちは

 

大河内淑子です

 

私の中で「毎日少しずつ専門書を読もうブーム」がきてくれているので、今回はこの本を読みました。

 

子どもの口と顎の異常・病変〜歯と顎骨編

クインテッセンス 2019年11月10日発売

 

一言で言うと、本当にすばらしい本でした。私の「2020年勉強になった本」トップ10入りは確実でしょう。

 

内容は以下紹介文より抜粋〜〜〜

 

一般歯科医・小児歯科医が子どもの「歯と歯質」「歯列とかみあわせ」「顎関節と顎骨」の異常・病変、「X線写真でみえる」異常・病変などを発見した際の、診断と治療のHow toを簡潔に解説。子どもの口と顎の異常・病変の「原因」「何をみるか?」「何をするか?」「何をしてはいけないのか?」「予後」「口腔外科での対応」について小児歯科・小児口腔外科の臨床の専門医が解説した。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜

世間で出版されている小児の本は結構曖昧に症状や病態だけ書かれているものが多く、「じゃあ、いったい遭遇したらどうするの?」という疑問だけが残り、処置や対処について具体的に書かれていることは少ないように感じます。

 

反面、この本はGPが「何をするのか?」「何をしてはいけないのか?」「口腔外科に紹介したらどのような処置になるのか?(これも患者さんから聞かれる事が多いですよね)」を具体的に解説してあります。ここまで書かれている本はあまり無いので、とても勉強になりました。

 

実践的な対処法を知りたい先生にはオススメです。

 

さらに、これを見るとレントゲン撮影の必要性を再確認しました。

 

すいぶん前の事ですが、当院で小児矯正を行っていた13歳の患者さんがいました。それまでは当院では初診以降で問題のあるとき以外はパノラマレントゲンは撮影していませんでした。

 

下顎の7番の傾斜があり、スプリングで起こしていたのですが、なかなか効果が出ないため、顎骨内での異常を疑いレントゲン撮影をしました。

すると、7番の直下に大きな顎嚢胞が認められました。すぐに口腔外科に受診してもらい、顎嚢胞を摘出してもらいました。顎の再生も順調に進み、経過は良好でしたが、7番は抜歯になりました。患者さんとのトラブルはこのケースでは無かったのですが、我々としてはもっと早く発見できなかったのだろうかとの後悔はありました。

 

この経験から、「何かおかしい」と思ってからでは後手になることになるので、矯正治療中の患者さんには説明して7歳から16歳くらいまでは1年〜1年半に1回程度の間隔でパノラマ撮影を行うことを徹底するようになりました。もちろん、自費ですので、患者さんの同意を得て撮影しております。

 

なにか起こった時に「レントゲンを撮ってなかったのでわかりませんでした」という歯科医院の言い分に対して、患者さんからすると、「ずっとみてもらってにどうして発見できなかったのか?」という気持ちになります。これは経験した我々も同じ気持ちでした。

 

かかりつけ医・ホームドクターとしての責任をどこまでもつかは医院によって考えは違うと思いますが、顎骨内で静かに進んでいる異常は口腔内からは発見できないため、私は早期発見のために定期的なレントゲン撮影を推奨しています。

 

このシステムを始めてから、埋伏歯の見逃しがなくなり、位置異常の早期発見、嚢胞も早期に見つかる事もありました。

 

矯正治療をしていない患者さんにも「7歳」「10歳」「13歳」「16歳」くらいの割合でレントゲン撮影を勧めています。このタイミングは「小学校入学、小学校の折り返し、中学校入学、高校入学との節目に撮りましょう」と言えるので、患者さんも心理的に受け入れやすくなりますし、我々もチェックしやすくなると考えます。

4月から始まるトラブル予防セミナーでもこのレントゲン撮影での実例をみせながら話す予定です。

 

小児の管理を虫歯だけと考えるのか、顎骨内までと考えるのか、医院での取り入れ方を考えさせられる本でした。